伊豆に引っ越して足掛け5年目になるが、伊豆の最大の魅力は海や山などの自然に恵まれているところだ。
それまで東京都心部の殺伐としたコンクリートジャングルで生活していただけに、自然の風景を眺めているだけで心が癒される。
そして、伊豆の自然といえば紅葉や梅・桜といった草花の鑑賞スポットも数多いが、最も有名なのは東伊豆の河津川沿いに咲く河津桜並木であろう。
例年、1000本以上もの河津桜が咲き乱れる2月中旬から3月上旬にかけて河津桜まつりが開催され、多くの観光客が押し寄せる。
拙宅から河津桜まつりが開催される河津町までは、車で1時間半足らずの距離なので決して遠くはない。
にもかかわらず、河津桜まつりには一度も訪れたことはなかった。
理由は、河津桜を見たいという気持ちよりも、人混みを避けたいという気持ちの方が勝っていたからだ。
でもよくよく考えれば、折角いつでも見に行ける場所に住んでいるのに、生涯に一度も行かないのはあまりにも勿体ないではないか。
そこで、今年は人混み嫌いを封印し、河津桜まつりへのドライブ旅に出掛けることを決意。
また、その少し先にある河津七滝の近辺にも河津桜が咲いているようなので、そちらにも立ち寄る計画を立てた。
もし公共交通機関を利用するとなると、河津桜まつりは電車で行けるのでまだいいが、河津七滝まで足を延ばすとなるとバスを利用することになるので、ちょっと億劫になってしまう。
そんな億劫な気持ちにならず、行きたい場所に自由気ままに出掛けられるのは、カーライフの素晴らしい点だ。
旅の相棒は、ピンクの河津桜鑑賞におあつらえ向きの(?)、ピンクのマイ・ハスラー(Gグレード・4WD・5速MT仕様)だ。
河津町を目指し国道135号線をひた走る
前夜は期待でワクワクするあまり、よく眠れなかった。(子供か!)
今朝の天気は曇り勝ちだったが、雨さえ降らなければ花見に支障はないので問題なし。
自宅を出発し、国道135号線と交わる交差点を下田方面に右折、河津町を目指す。
写真は宇佐美から伊東に掛けての区間で、この辺りは海岸沿いを走るので眺望が良く、気分もアガる。
平日だったので交通量も比較的少なく、流れも非常に良かったが、こうしたシチュエーションはMT車に打ってつけだ。
渋滞に巻き込まれると煩わしく感じるシフト操作も、楽しくて仕方ない。
ハスラーのMTはシフトストロークは長めだし、節度感もイマイチだが、そんなことも些末な問題に感じる。
この後道路は海から離れ、内陸部へと入っていく。
しばらく走ると、赤信号で停止した交差点に伊豆赤沢温泉郷の看板が見えた。
ここから先は道路が再び海沿いになり、ところどころで息を飲むような絶景を臨める。
伊豆大川と伊豆北川の中間ほどの地点に車を停められる場所があったので、そこで海の写真をパチリ。
この日は比較的空気が乾燥していたようで、彼方にうっすらと伊豆大島の姿が見えた。
大海原を眺めていると日常の雑多な出来事を忘れ、気分がリフレッシュされる。
小休止で気分転換ができたところで、再び河津町を目指し走りはじめる。
やがて稲取温泉の看板が見えてきたが、ここまで来れば目的地まであと少しだ。
前を行くのは、ハスラーの兄貴分クロスビー。
あにきぃ、ずっと後を付いてってもいいか?(いやマテ、発売時期でいえばハスラーの方が兄貴分か?)
この時うしろにいた車はムーヴキャンバスで、しばらく「癒し系トリオ」で連なって走る。
はた目にどう映っているかは分からないが、思わずニンマリしてしまった。
そして、ついに目的地の河津町に到着。
駐車場に関しては、河津桜並木のある近辺に有料駐車場がいくつかあるものの、満車でなかなか停められないとの口コミがあったため回避した。
選んだのは、現場からは少し離れているものの、空いている上に無料(ビンボーな筆者にはココが重要!)で利用できる河津バガテル公園の駐車場だ。
写真の谷津交差点を右折、下田街道(県道14号線)を進む。
そして、河津バガテル公園の案内看板のところを左折。
街道から満開の河津桜が咲き乱れる様子が見えるので、早くその場所を歩きたいとウズウズしてしまった。
走ること2、3分で河津バガテル公園の駐車場に到着。
ピンクの相棒よ、ここまでご苦労さん!
渋滞らしい渋滞もなかったし、海も存分に眺められたしで気持ちの良いドライブだった。
アップダウンは多かったけれど、そこまで急な勾配はないので、お世辞にもパワフルとは言い難いハスラーNA車でもストレスはなし。
ここはかなりキャパシティの大きい駐車場だが、停まっている車はまばらだ。
大半の観光客は、離れている上に小高い場所にあるこの駐車場を嫌い、例え有料で混んでいたとしても近場の駐車場を利用するようだ。
車を降りると、早速現地を目指して歩き出す。
すると、道中に2台の黄色いZ32型フェアレディZ とNA型ロードスターが停めてあるお宅があったので、思わずシャッターを切った。
さらに、手前には廃車手続き済と思われる3代目ポンティアック・ファイアーバード・トランザムの姿も。
そうそうたるラインナップを見て、このお宅の方はかなりのエンスージャストと見た。
とにかく、何とも素晴らしいカーライフではないか!
しかも、3台のスポーツカーが黄色というのがいい。
筆者は別にピンク色命というわけではなく、黄色も大好きで、かつて乗っていたL880K型コペンやフォルクスワーゲンタイプⅠ(空冷ビートル)がこの色だった。
かつて「黄色いビートルを見かけると幸せになる」という都市伝説があったが、若い人は知らないだろうな・・・。
そして駐車場から歩くこと20分ほどで、ついに河津桜並木のある場所に出た。
目も胃袋も満たされた河津桜まつり
まずは多数の出店が立ち並ぶ、河津駅側の遊歩道を歩くことにした。
写真は橋の上から撮ったものだが、鮮やかなピンク色の河津桜並木がいつ果てるともなく続く光景は、壮麗そのものだ。
東京の台東区に住んでいた頃、よく上野公園にソメイヨシノの花見に出かけたものだが、色が違うこともあり、それとはまた違った趣がある。
もちろん、一本の河津桜を間近で見てもキレイだ。
とにかくこれ以上の目の保養があるかというくらいの眺めで、「あー、日本人に生まれてきて良かった~」と思ってしまった。
その一方で、桜並木と同じくらい人混みも凄い。
噂には聞いていたが、平日にも関わらずこれでもかというくらい人が大勢いるので、驚いた。
でも、「桜を見に来たんだか人を見に来たんだか分からない」などという野暮なことは言わない。
なんたって、自分も人混みの原因を作っている一人なのだから・・・。
しばし人・・・ではなく河津桜を眺めながら歩いた後、折角数多くの屋台が軒を並べているので、食べ歩きをすることにした。
筆者は、食事は屋内で腰を据えて食べるもの、という固定概念を持っているので、大人になってからは食べ歩きをしたことがない。
でも、ユーチューバーが食べ歩きをしている動画を見るととても楽し気だし、美味しそうに見えるので、一度やってみたかったのだ。
ここで、美味しかった食べ物ベスト3を紹介!
〇 第3位:さくらモッフル
お餅のワッフルことモッフルは、最近ちょっとしたブームになっているらしいので、一度食べてみたかった。
種類は色々あったが、やっぱりここで食べるからにはさくらモッフルでしょう!
お店のお母さんに490円を支払って購入、早速食べてみたところ、皮はサクサクで中は対照的にもっちもち、この食感は気に入った!
味の方も甘すぎない餡子とのマッチングが絶妙で、とても美味。
器を返す時、お母さんに「美味しかったです」と告げたところ、「ありがとうございます」とニッコリ(マスクをしていたけど、目が笑っていた)。
店員さんに美味しかったことを告げると、お互い幸せな気分になれるのでおススメです。
〇 第2位:さくら満開餅
河津桜をモチーフにしたという、さくら満開餅を網であぶって売っており、とても美味しそうだったので迷わず購入。
そして、実際に美味しかった!
ほんのり塩味の効いた桜の葉っぱと、ピンク色した餡の上品な甘さとのコラボが絶品。
この味で200円なら安いわ~!
〇 第1位:野沢菜入りおやき
これまでおやきを食べたことが一度もなかったため、この機会に人生初のおやき体験をしようと思った。
3種類あった具のうち一番ヘルシーそうな野沢菜入りをチョイスし、お店のお母さんに200円を支払って購入。
お味の方は「まいう~~~!!」で、今日食べた中でのベストワンだった。
とにかく、何でもっと早くおやきを食べなかったんだと後悔するくらいの美味しさ。
お店のお母さんに「今日食べ歩きした中で一番美味しかったです!」と告げたところ、「えー!?そうですかー!?」嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
頭の中がすっかり「花より団子」モードになっていたが、食べ歩きでお腹が満たされたところで、また桜を愛でる気分に。
川の対岸の遊歩道に出ると、こちら側は出店がないためか、人通りが少なくひっそりしていた。
食欲さえ満たしてしまえば、こっちの方が歩きやすくていいや。
それに、人と桜のコラボではなくもっぱら桜のみを眺めて楽しめるし・・・。
しばらく進むと、オールド・ミニが2台停まっているお宅を発見。
丸みを帯びたお尻が、何とも可愛らしい。
1990年代にはヘタな国産車顔負けの人気を誇り、街中でたびたび姿を見ることができたオールド・ミニだが、さすがに最近は滅多に目にすることはなくなった。
この2台は、1980年代以降の比較的新しいモデルだろう。
手前のミニは、結構モディファイを施してあるように見える。
実は、オールド・ミニはオーナーになる寸前までいったことがあるのだが、結局金欠のため購入には至らなかった。
そんな経緯もあり、いまでも興味のあるクルマだし、一度手に入れてみたいという思いもある。
そうこうするうちに、下田街道と合流する来宮橋のところまで来た。
河津桜を存分に満喫し、食べ歩きにも満足したところでバガデル公園の駐車場に戻ることにした。
行きはよいよい帰りは怖い、じゃないけれど、バガデル公園へと向かう道路の急こう配が足にこたえる。
途中、前方にワンコを連れているご婦人がいたので、追い越しざまに挨拶をしようとしたら、ご婦人の方から「どうも」と笑顔で会釈してくれた。
動物好きに悪い人はいないというけれど、犬と散歩している人は大抵フレンドリーだ。
ワンコがつぶらな瞳でこちらを見つめてくるので、ご婦人に「可愛いですね」と言ったところ、ワンコに「ウ~」と唸られた。
なんでやねん?
ご婦人が、「あんた、褒められてるのよ!」と笑いながらたしなめていたっけ。
気息奄々で駐車場にたどり着くと、筆者の帰りを待ち続けていたハスラーに乗り込み、次の目的地である河津七滝を目指し走り出す。
バリエーション豊かな河津七滝を堪能
河津桜並木がある下田街道は、写真のように幅員が狭く、すれ違いにも気を使う。
こんな状況では、ハスラーの全幅の狭さとアイポイントの高さにありがたみを感じる。
軽で良かった~!と思える瞬間だ。
河津七滝までの距離は8キロほどに過ぎないので、走ること10数分で到着した。
河津七滝観光センターの駐車場に停めるつもりだったのだが、その手前のループ橋のところに無料駐車場があったので、、迷わずそこに駐車。
見上げると、このループ橋の近辺にも河津桜が咲いていた。
折角ここまで来たので、河津桜を眺めるだけでなく七滝巡りもしてみよう。
通りを歩く人の数はまばらで、さっきまで雑踏の中にいただけに何だかホッとする。
まずはじめに訪れたのは、河津七滝の中では最大の高さを誇る大滝だ。
さすがに華厳の滝などとは比べるべくもないが、高さが30mあるのでそれなりに壮観だ。
ただ、こういう清涼感のある風景は、どちらかというと暑い夏の時期に見たい気もする。
次に訪れたカニ滝は、対照的にちんまりした滝だ。
高さは2mほどしかなく、何とも可愛らしい。
これを見て、何故か川崎にある世界一短いエスカレーターが頭に浮かんでしまった。
続いて訪れたのは初景滝だ。
高さは10mほどとスケールはそれほどでもないが、三筋の水の流れとブロンズ像「踊り子と私」のコラボレーションが叙情的。
箱根彫刻の森美術館など、山々の風景とブロンズ像の調和が印象的なスポットはあるが、滝とブロンズ像の組み合わせはなかなかないと思う。
元々ブロンズ像が好きということもあり、とても気に入った。
そして、お次は蛇滝だ。
高さ3mのミニ滝で、蛇のウロコを彷彿とさせる岩がちょいとエグいが、なかなかユニークな形だ。
そして、エメラルドグリーンの水面が美しい。
続いては、高さ22mと七滝で二番目の高さを誇る釜滝だ。
蛇滝の後だけに、一層迫力が感じられる。
多分、この雰囲気からするとマイナスイオンもかなり出ているんだろうな。
ここから先は行き止まりになっていたので、元の場所を目指し引き返す。
まだ出合滝と海老滝を見ていなかったが、アップダウンの激しい遊歩道を歩いてヘトヘトになっていたので、ここまでにすることにした。
なあに、滝は逃げていかないし、また来ればいいや。
帰路に着く前に、河津七滝観光センターに立ち寄ってわさびソフトクリームを食べることにした。
観光センターの入口のところにも、河津桜が咲いていた。
河津川沿いの壮観な桜並木を見たあとでも、やはり綺麗だな~と思う。
ここの駐車場は満車で、黄色い枠のバス専用スペースにも乗用車が停まっていた。
ループ橋のところの駐車場に停めて大正解だ!
わざびソフトクリームは350円だったが、まあ平均的な値段だろう。
早くも形が崩れかけてきたので、慌ててシャッターを切ったところピンボケ気味になってしまった・・・。
味の方は、バニラ味を基本にほんのりとわさびのスパイスが効いている感じだ。
鼻にツーンときて涙目になるようなこともないし、悪くない。
でも、やっぱり普通のバニラのソフトクリームの方がいいかな。
ソフトクリームを食べ終わるとハスラーを停めてある駐車場に戻り、帰路に着いた。
河津方面をドライブしてみて
国道135号線は海沿いを走る区間も多く、眺めが良いのでドライブコースとしてかなり楽しめた。
もしオープンカーで屋根を開けて走ったら、さらに気持ちが良かっただろう。
オープンカーといえば、筆者はかつてコペンのほかにスマート・フォーツーカブリオや、知る人ぞ知るルノー・ウインドにも乗っていたことがあるが、オープンカーのあるカーライフはとても楽しいものだった。
今も、コペンかS660と2台持ちしたい気持ちはあるのだけれど、先立つものが・・・(泣)。
そして河津桜まつりの方だが、文句なしに楽しかった!
河津桜の美しさと食べ物の美味しさの前には、苦手の人混みも気にならなかったのは自分でも意外。
食べたものに当たりハズレはあったけれど、そうしたギャンブル性も食べ歩きの醍醐味と言えるかも。
また、河津七滝も十分楽しめたが、どちらかというと河津桜目当てにこの時期に訪れるよりも、清涼感目当てに夏場に訪れる方がいいかもしれない。
とにかく、とても充実した一日だった!