いま、世界中で車の電動化への流れが加速している。
ドイツ、フランス、英国などでは、2030~2040年までに電動化した車以外の新車販売が禁止される予定だ。
日本においても、2030年代半ばまでに純ガソリンエンジン車の新車販売を禁止する方向で調整が進んでいる。
こうした状況なので純エンジン車は絶滅危惧種となっていて、新車で手に入るのはあと10数年しかない。
ここでは、エンジン車の主流となっている純ガソリン車の中から、是非ともいまのうち乗っておきたい車種を5台選んでみた。
いま乗っておきたい純ガソリン車は、この5台だ!
3気筒ターボのパワーがさく裂!トヨタ・GRヤリス RZ / RZハイパフォーマンス
3,960,000円~4,560,000円
数少ない国産ホットハッチの1台として貴重な存在と言えるのが、トヨタのGRヤリスだ。
ノーマルのヤリスとはボディや足回りが全くの別物で、走行性能は次元が異なる。
そのGRヤリスには1.5L直3自然吸気エンジンを搭載する廉価版「RS」もあるが、やはり本命は1.6L直3ターボエンジン搭載の高性能版「RZ」及び「RZハイパフォーマンス」だろう。
エンジンのスペックは最高出力272ps/6,500rpm、最大トルク37.7kg・m/3,000~4,600rpmで、1.6Lクラスとしては世界最強レベルを誇る。
そして、1.6Lの排気量があるのに、せいぜい1.5Lまでが常識の3気筒を採用している点にも注目して欲しい。
そのフィーリングは、最近のターボエンジンとしてはターボラグが大きい一方で、一旦ブーストが掛かってからの加速は強烈だ。
1気筒あたり約540ccのシリンダーが生み出す爆発力を肌で感じられる加速感で、背中がシートバックに押し付けられる。
静止から100km/hまでの加速タイムは僅か5.2秒で、1.6Lクラスとしては群を抜く性能だ。
3気筒特有の振動も、むしろ刺激としてポジティブに捉えられる。
組み合わせられるトランスミッションはiMTと呼ばれる電子制御式6MTで、シフトチェンジの際に自動で回転を合わせてくれる点もいい。
排気音はそれほど刺激的とは言えないが、不満ならGRスポーツなどから発売されているマフラーに交換するといいだろう。
価格はRZが396万円、トルセンLSDなどが備わるRZハイパフォーマンスが456万円で、Bセグメントのホットハッチとしてはかなり高額だ。
しかし、得られるパフォーマンスやドライビングプレジャーを考えれば、決して割高ではない。
コンパクトで高性能な車が欲しいなら、いまイチオシのモデルだ。
自然吸気エンジンならではの気持ち良さ!マツダ・ロードスター
2,601,500円~3,615,700円
純ガソリンエンジンならではフィーリングが味わえる車として、マツダ・ロードスターを外すわけにはいかない。
ロードスターの魅力と言えば、意のままに操れる軽快なハンドリングや、オープンエアモータリングの気持ち良さがまずあげられるが、エンジンの魅力もなかなかのものだ。
搭載される1.5L直4自然吸気エンジンが発生するスペックは最高出力132ps/7,000rpm、最大トルク15.5kg・m/4,500rpmで、決してパワフルとは言えない。
しかし自然吸気ならではのシャープなレスポンスや、高回転域までよどみなく吹け上る回転フィールは大きな魅力だ。
限られたパワーを使い切って走る快感は、有り余るほどのパワーを持つハイパフォーマンスカーでは味わえない。
トラスミッションは6ATと6MTがあるが、運転免許の問題がなければ絶妙なシフトフィールが堪能できる6MTが断然おススメだ。
約260~360万円という価格はスポーツカーとしては安価で、誰にでも手が届きやすい点も魅力にあげられる。
大排気量V8エンジンの豪快さ!シボレー・カマロ SS
6,950,000円~7,330,000円
ガソリンエンジンはダウンサイジングターボ化が進んでおり、大排気量自然吸気エンジンは絶滅の危機に瀕している。
かつては様々なメーカーが5L以上の自然吸気エンジン搭載モデルを生産していたが、いまは数えるほどしかない。
そんな中で、6.2Lという大排気量エンジンが選べるシボレー・カマロは貴重な存在だ。
カマロには2L直4ターボエンジン搭載の「LTRS」や「コンバーチブル」もあるが、やはりアメ車らしい6.2LのV8OHVエンジンを搭載する「SS」こそ本命と言える。
最高出力453ps/5,700rpm、最大トルク62.9kg・m/4,600rpmのスペックを誇るエンジンは、実にトルクフルで力強い。
大排気量ユニットらしい重厚さに加え、OHV方式とは思えない高回転域の伸びは大きな魅力だ。
この有り余るほどのパワーを有効に引き出す10速ATも、実にいい仕事をしている。
価格はカタログモデルが695万円、限定モデルのヘリテイジエディションが733万円だが、エンジンのスペックや車格からすればバーゲンプライスと言える。
輸入車の中ではリセールバリューがトップクラスに高い事も付け加えておこう。
是非いまのうちに手に入れておきた1台だ。
エンジンオブザイヤー受賞の実力!アウディ・A4 35TFSI / 45TFSI
4,550,000円~6,270,000円
アウディと言えば、4WDのクワトロシステムがあまりにも有名だ。
しかし、実はエンジン技術もかなり優れたものを持っている。
例えば、ミディアムクラスセダンA4をはじめ多くの車種に搭載される2L直4直噴ターボのTFSIエンジンは、2019年のインターナショナルエンジンオブザイヤーを受賞した名作だ。
A4の場合、「35TFSI」シリーズには最高出力150ps/3,900~6,000rpm、最大トルク27.5kg・m/1,350~3,900rpmのローチューン版が、「45TFSI」シリーズには最高出力249ps/5,000~6,000rpm、最大トルク37.7kg・m/1,600~4,500rpmのハイチューン版が搭載される。
パワーとトルクには違いがあるものの、どちらも雑味のないスムーズな回転フィールと、本来直噴ターボが苦手とする高回転域までストレスなく吹け上がる点が魅力だ。
組み合わせられるトランスミッションはデュアルクラッチ式の7速Sトロニックで、電光石火の変速スピードがエンジンの魅力を100%引き出してくれる。
このTFSIエンジンを搭載するA4の価格は455~627万円で、ちょっと頑張れば誰にでも手が届くはずだ。
2気筒エンジンの鼓動がハートを刺激!フィアット・500 ツインエア ポップ / ツインエア / ラウンジ
2,410,000~2,760,000円
最後に紹介するのはフィアットのコンパクトカー、500 (チンクエチェント) だ。
500には1.2L直4自然吸気エンジンを搭載する「1.2 ポップ」というグレードもあり、こちらも悪くない。
しかし、エンジンの個性という点では「ツインエア」と呼ばれる0.9L直2ターボエンジンを搭載する「ツインエア ポップ」及び「ツインエア ラウンジ」が遥かに勝る。
何と言っても、いまどき珍しい2気筒という点が大きな特徴だ。
中低回転域でのドコドコした鼓動は、車のエンジンというよりもバイクのエンジンを彷彿とさせる。
このノスタルジックなフィーリングは、多気筒エンジンでは絶対味わうことはできない。
アウトプットは最高出力85ps/5,500rpm、最大トルク14.8kg・m/2,000rpmと特に目覚ましいものではないが、実際は排気量不明の力強さがある。
低速トルクが意外と細いため、ある程度回転を上げて走る必要はあるが、躊躇なくアクセルを踏んでやればパフォーマンスに不足を感じることはない。
組み合わせられるトランスミッションはシングルクラッチ式2ペダルの5速デュアロジックで、変速時のトルク抜けは気になるものの、MTがベースなのでダイレクト感は高い。
価格は廉価版の「ポップ」が241万円、上級版の「ラウンジ」が276万円で、Aセグメントのコンパクトカーとしては高価だ。
しかし、ツインエアエンジンでなければ得られない魅力には代えがたい。
既に欧州で発売されている新型500は全車EVとなっているだけに、絶版になる前に手に入れておきたいところだ。