トヨタのモータースポーツ部門トヨタガズーレーシングが手掛けるスポーツモデルが、「GR」だ。
ノーマル車とは異なる様々なチューニングが施され、高い走行性能を誇る。
ここでは、いま新車で買えるGRモデル4車種を取り上げ、ノーマル車との違いを徹底解説するので参考にして欲しい。
新車で買えるGRモデルはこの4車種だ!
現在新車で入手可能なGRモデルは、以下の4車種だ。
- GRヤリス
- GRスープラ
- C-HR GR スポーツ
- コペン GR スポーツ
このうちGRヤリスとGRスープラは、専用ボディや専用エンジンなどを特徴とする本格スポーツモデル「GR」にカテゴライズされる。
対してC-HR GR スポーツとコペン GR スポーツは、ノーマル車をベースにスポーティな味付けを施したスポーツコンバージョンモデル「GR スポーツ」に属するモデルだ。
以下で、この4台のGRモデルをノーマル車と比較しながら紹介していきたい。
GRヤリスとヤリスはここが違う!
現行GRモデルのうち、いま一番注目を浴びているのがGRヤリスだろう。
外観はノーマルのヤリスの延長線上のように見えるが、実際はオリジナルの専用ボディだ。
足回りも別物で、エンジンはGRヤリスのために開発された専用ユニットも用意される。
では、GRヤリスとヤリスの違いについて解説しよう。
GRヤリスとヤリスの外装デザインの違いは?
まず、GRヤリスとヤリスの外装デザインの違いを見てみよう。
上がGRヤリス、下がヤリスだ。
基本的なデザインテイストに類似性はあるが、ボディが別設計なので実際はかなり異なる。
まずヤリスが5ドアなのに対し、GRヤリスは3ドアとなる点が大きな違いだ。
フロント回りの造形や、フェンダーの張り出し具合なども大きく異なる。
また、ボディサイズも以下のとおり以外と違いが大きい。
- GRヤリス 全長3,995mm×全幅1,805mm×全高1,455mm
- ヤリス 全長3,940mm×全幅1,695mm×全高1,500~1,515mm
GRヤリスはヤリスと比べ全長が45mm、全幅が110mm大きく、全高は逆に45~60mm低い。
ヤリスに対し、GRヤリスはかなりワイド&ローなフォルムになっていることが分かるだろう。
GRヤリスとヤリスの内装デザインの違いは?
上がGRヤリス、下がヤリスのインパネ回りだ。
細部に違いはあるが基本的なデザインは共通で、外観ほどの違いはない。
GRヤリスには、もう少しスポーツモデルらしいスペシャル感が欲しいところだ。
GRヤリスとヤリスのメカニズムの違いは?
次に、GRヤリスとヤリスのメカニズムの違いを見てみよう。
項目 / 車種名 | GRヤリス | ヤリス |
---|---|---|
パワートレイン | 1.5Lノンターボ / 1.6Lターボ | 1Lノンターボ / 1.5Lノンターボ / ハイブリッド |
サスペンション | 前:ストラット / 後:ダブルウィッシュボーン | 前:ストラット / 後:トーションビーム |
ブレーキ | 前:ベンチレーテッドディスク / 後:ベンチレーテッドディスクまたはディスク | 前:ベンチレーテッドディスク / 後:ドラム |
WTLCモード燃費 (km/L) | 13.6~18.2 | 19.6~36.0 |
パワートレインで唯一、GRヤリスとヤリスの両方に設定されるのが1.5Lノンターボエンジン (最高出力120ps) だ。
GRヤリスの1.5Lエンジン搭載グレードはRSと呼ばれる。
ヤリスではトランスミッションはCVTと6MTが選べるが、GRヤリス RSは意外にもCVTしか設定がない。
また、駆動方式はヤリスにはFFと4WDがあるが、GRヤリス RSはFFのみの設定となる。
1.6Lターボエンジン (最高出力272ps) はGRヤリスのRZ / RZハイパフォーマンス専用のエンジンで、組み合わせられるトランスミッションは電子制御式の6MTだ。
駆動方式は4WDで、ヤリスの4WDシステムとは別物の高性能なシステムを搭載する。
そして、ヤリスに設定のある1LノンターボエンジンとハイブリッドはGRヤリスでは選べない。
サスペンションはフロントの形式は共通だが、リアはGRヤリスが独立懸架のダブルウィッシュボーン式、ヤリスが半独立懸架のトーションビーム式という違いがある。
ロードホールディングの点では、ダブルウィッシュボーン式の方が有利だ。
また、リアのブレーキはGRヤリスがディスク式を採用するのに対し、ヤリスでは性能の劣るドラム式となる。
GRヤリスとヤリスの走行性能の違いは?
GRヤリスとヤリスの走行性能を比較すると、1.5Lエンジン搭載車同士の比較ではエンジンのスペックがまったく同じなので、動力性能に大差はない。
しかしハンドリングはGRヤリスが勝り、ステアリングレスポンスの良さやコーナリングスピードの高さなど、ノーマルのヤリスとはレベルが違う。
そしてGRヤリスの1.6Lターボエンジン搭載車ともなると、走行性能はヤリスとは格段の差がある。
何しろ最高出力272ps、最大トルク37.7kg・mという圧巻のスペックだ。
加速性能は圧倒的で、その気持ち良さはノーマルのヤリスでは絶対味わえない。
そして制動力においても、間違いなくGRヤリスの方が優れている。
ただしGRヤリスはヤリスと比べ乗り心地がハードで、燃費も劣るが、そこはパフォーマンスの高さとのトレードオフなので仕方ないところだ。
GRヤリスとヤリスの価格の違いは?
最後にGRヤリスとヤリスの価格の違いを比較してみよう。
- GRヤリス 265万円~456万円
- ヤリス 139.5万円~249.3万円
GRヤリスが125.5万円~206.7万円高い
GRヤリスは、走行性能を高めるためのメカニズム・装備にコストが掛かっているため、ヤリスよりかなり高額な設定になっている。
GRヤリスの最低グレードとヤリスの最高グレードを比較しても、GRヤリスの方が高価だ。
しかしそのパフォーマンスの高さを考えれば、GRヤリスは決して割高ではない。
GRスープラを紹介!
GRスープラはトヨタとBMWが共同開発した2人乗りスポーツカーで、BMWのZ4とは兄弟車種の関係にある。
他のGRモデルと異なりベース車両がないオリジナルモデルなので、単にスープラと呼ばれることも多い。
設計にあたりガズーレーシングの持つノウハウが惜しみなく投入され、極めて高い走行性能を誇る。
エンジンは3L直6ターボ (最高出力387ps) と、チューニングの異なる2種類の2L直4ターボ (最高出力258ps / 197ps) を用意。いずれもBMW製だ。
トランスミッションは全車8速トルコンATで、駆動方式はFRを採用する。
価格は499.5万円~731.3万円だ。
C-HR GR スポーツはC-HRベース車とここが違う!
C-HR GR スポーツは、GRヤリスと異なりC-HRの一グレードと位置付けられる。
ボディやサスペンション形式などはC-HRのベース車と基本的に共通で、パワートレインもスペックを含め共通だ。
それでも、内外装や足回りのセッティングなどベース車との相違点は少なくない。
C-HR GR スポーツとベース車の外装デザインの違いは?
GRスポーツは専用のフロントグリルやフロントパンパーが装着され、ベース車と比べ精悍さがアップしている。
アルミホイールはベース車 (S / S-T) の17インチに対し、2インチ大径の19インチを履く。
こうしたモディファイにより、GRスポーツはベース車に増してスポーティな雰囲気を醸す。
また専用チューニングのサスペンションやスタビライザーを採用すると同時に、ベース車ではオプションとなる剛性アップ用のGRブレースが標準で付く。
C-HR GR スポーツとベース車の内装デザインの違いは?
GR スポーツの内装は基本的にベース車と共通のデザインで、外観ほどの違いはない。
とは言え、専用ステアリングホイールや専用スタートスイッチ、専用メーターや専用の加飾、専用シート表皮などの採用により、しっかり差別化が図られている。
GRモデルならではのスポーツムードは魅力だ。
C-HR GR スポーツとベース車の走行性能の違いは?
パワートレインが共通なので、ベース車と比べ加速性能がアップしているわけではない。
しかし、専用の足回りなどのお陰でハンドリングが向上し、運転の楽しさが増している。
ワインディング走行が一層楽しめることは、間違いない。
C-HR GR スポーツとベース車の価格の違いは?
C-HR GR スポーツとベース車の価格は、以下のとおり。
- C-HR GR スポーツ 278.2万円~314.5万円
- C-HR ベース車 (S / S-T) 238.2万円~274.5万円
GR スポーツが40万円高い
GRスポーツとベース車の価格差は40万円で、さほど大きくない。
少し頑張れば手が届く価格は、多くの走り好きの人にとって嬉しいところだろう。
コペン GR スポーツはコペンのベース車とここが違う!
コペン GR スポーツは、トヨタの子会社ダイハツが開発した軽スポーツカー「コペン」をベースに、ガズーレーシングがチューニングを手掛けたモデルだ。
コペンには他にローブ / エクスプレイ / セロの3タイプが用意されているが、GRスポーツはそのどれよりもスポーティな内外装や、強化された足回りなどを持つ。
パワートレインには手が入っていないものの、ワンランク上の走行性能を備えていることは間違いない。
なお、販売はトヨタ系列店だけでなくダイハツ系列店でも行われる。
コペン GR スポーツとベース車の外装デザインの違いは?
コペンの中で基本モデルとも言うべき「ローブ」と、GR スポーツの外装デザインを比較してみよう。
GR スポーツは専用のラジエーターグリルやパンパーなどにより、ローブと比べ迫力が増した印象だ。
アルミホイールもマットグレイ塗装のGR専用品を履き、足元も引き締められている。
全般的に、どこかファニーな雰囲気も漂うローブに対し、GR スポーツはスパルタンなイメージに変貌を遂げている。
また、専用のショックアブソーバーやボディ補強パーツが装着されるのもGR スポーツの特徴だ。
コペン GR スポーツとベース車の内装デザインの違いは?
GR スポーツの内装は、モモ製の専用ステアリングホイールや専用メーターを採用するほか、インパネの加飾もローブとは異なる。
また、レカロ製のスポーツシートが奢られる点もGR スポーツの魅力だ。
ローブと比べ、スポーツムードは確実にアップしている。
コペン GR スポーツとベース車の走行性能の違いは?
C-HR GR スポーツと同様、パワートレインにチューニングが施されているわけではないので、加速性能は他のグレードと変わらない。
しかし専用の足回りやボディ補強、専用チューニングのパワステなどが功を奏し、ハンドリングは確実にワンランク上がっている。
ワインディングでは、正に水を得た魚だ。
乗り心地もむしろ向上しているので、GR スポーツこそコペンの本命と言えるだろう。
コペン GR スポーツとベース車の価格の違いは?
コペン GR スポーツとローブの価格は、以下のとおりとなる。
- コペン GR スポーツ 238万円~243.5万円
- コペン ローブ 188.6万円~190.8万円
GR スポーツが49.4万円~52.7万円高い
GRスポーツは、ローブと比べ50万円前後高価だ。
軽自動車と考えればこの価格差は大きいが、ハンドリングや乗り心地の向上を考えれば決して割高ではない。